私のどっぷりした脂肪には別の自分がいるように思う。
ある程度脂肪を蓄えると生まれて、脂肪の中に潜む。
食欲を司る小さな自分。
空腹ちゃんと呼んでる。
普段静かで危害を何も加えてこない。
空腹にすると動き出す。
空腹時間とともに成長し始めて、怒り始める。
時には呻き、時には泣き、叫ぶ。
そしてあまりにも成長すると本体の私のコントロールを奪う。
考え方を支配し、行動の自由を奪われる。
そうなったらもうどうしようもない。
気づいた時には既に遅しで
食べ過ぎた罪悪感だけを本体に残して
私の脂肪の中でまた静かにし始める。
寄生獣みたいな、宿主をコントロールする怖い存在。
最近、彼とうまく付き合うコツを薄々気づきはじめた。
適度に食事を与えるのだ。
空腹になって成長させてしまうより
事前にちょっと食事を与えて
正式な食事まで時間稼ぎして
呻き嘆きを止めておく。
その方が猛烈な空腹にしまった時より
トータル食事量が少なくすむように思う。
ちょびっとだけ餌を与えるのが難しい。
だってちょっとあげるとかわいく、もっとちょうだいしてくる。
かわいいやつだからもっとあげたくなる。
ちょこっとだけあげる、難しい匙加減。